当院の診察の中で体調不良を生じる原因のひとつにあげられる”重金属汚染”。
一昔前は環境汚染や公害病として話題に上ることが多かったですが、最近は環境整備が整い、無秩序に有害な重金属が環境中にふりまかれるようなことはなくなりました。
かといって、重金属が全くなくなったのか、と言えばそういうわけではありません。
”以前ほど大量に環境に排泄されなくなった”、というだけで、いまでも重金属の多くは私たちの周りに存在しています。
重金属がやっかいなのは、一度に摂取する量が少量でも、なかなか体内から排泄されず蓄積してしまうところです。
そのため、重金属がどこから私たちの生活に入り込んでくるのかを理解しておき、蓄積を予防することがとても大切になります。
ということで、本日は重金属のひとつである『ヒ素』に関してお伝えしたいと思います。
ヒ素といえば、和歌山の毒入りカレー事件で一躍有名になった毒薬…もとい重金属です。猛毒のイメージが強いのではないでしょうか。
ヒ素には無機ヒ素と有機ヒ素があり、毒性は無機ヒ素の方が強力です。中でも亜ヒ素(カレー事件原因)が最も強いと言われています。
ヒ素も、これまでご紹介した重金属と同じく自然界にあたりまえに存在しており、鉱物や化石燃料を人間が利用する際に環境中に排泄されます。また、地底のマグマにも含まれるため、火山活動で排出される場合もあります(活火山のそばの井戸や河川のヒ素濃度が高いことが知られています)。
火山は海の中にもあるので、海水にもヒ素は溶けこんでいます。
ということは、海で活動する生物たちは、ある一定濃度のヒ素を常に蓄積していることになります。
ではヒ素はどのような悪さをするのでしょうか?
ヒ素はタンパク質と結合して酵素の働きを阻害したり、タンパク質の合成を邪魔したりします。
その影響はヒ素の種類によっても異なります。有機ヒ素については、今のところどんな悪影響があるかははっきりとはわかっていないようですが、無機ヒ素よりは害が少ないと考えられています。
一方で、無機ヒ素が体内に大量に入ってしまった場合、発熱、嘔吐、下痢、筋肉痛、脱力感などが生じる可能性がありますが、ありふれた症状のためヒ素中毒と認識されないこともあるようです。急性症状の場合はヒ素が体内に入ってから数十分〜数時間で下痢発熱嘔吐などの症状が現れ、心臓衰弱を引き起こし、放置するとやがて全身痙攣を起こして死亡する可能性があります(急性中毒は食材に含まれるヒ素により起こる可能性はまずありません)。
また、長期にわたり無機ヒ素の摂取があった場合(慢性中毒)は、食欲減退や嘔吐、皮膚の発疹や炎症、がんの発生などの悪影響があるとも報告されています。
かつてひじきのなかに含まれるヒ素の有害性に関して報じられたことがありました。
ひじきには無機ヒ素が含まれており、発ガンの可能性があるため食べてはいけないというものです。
ただし、厚生労働省はこのひじきへの懸念に対して下記のように回答しています。
FSAが調査した乾燥ひじきには、最大で1kgあたり22.7mgの無機ヒ素がふくまれていたが、仮にこの(最大に無機ヒ素が含まれている)ひじきを食べるとしても、体重50kgの人で1日に4.7g以上(一週間に33g程度)を継続的に取らない限りWHOが定めた無機ヒ素のPTWI(暫定的耐用週間摂取量)の15μg/kg体重/週)を超える可能性はない。
つまり、『ひじきに無機ヒ素が含まれていたとしても、極端に多く食べなければ悪影響を受けることはない』と言っています。
犬猫がどれだけ食べても良いのかは上の文章だとわかりにくいので、ざっくりと1/5の量に減らして10kg換算してみました。
そうすると、1日上限約1gになります。乾燥ひじきの1gを測ってみたら、おおまかに小さじ1弱くらいでした。
小さじ1と聞くと割と少ない量じゃない?食べちゃうんじゃない?と心配されるかもしれませんが、おそらく小さじ1の乾燥ひじきは水に戻せばそれなりの量です笑
また、ひじきを戻す際に"水戻し"または"ゆで戻し"することで、ひじきに含まれるヒ素の量を5割〜9割減らすこともできますので、怖がって避ける量ではないと思います。
ひじきは栄養素的な視点から言えば食物繊維や必須ミネラルも豊富に含んでいて、ヒ素だけに注目して食べなくなってしまうには惜しい食材かなと思いますので、ぜひ正しい知識を持ってバランスよく摂取してもらえたらと思います。
そのほか、お米にも無機ヒ素が含まれますが、特に玄米のぬか部分に多く含まれるため、白米に精米する・炊く前によく研いでぬかを落とすことで摂取するヒ素の量は減らすことができます。
でも、わかっちゃいるけどぬかの栄養も捨てがたい…と思っている皆様、最終的には『バランスよく偏らずに食べる』ことで調整してください。
以上、ヒ素でした。
重金属シリーズは今回で一旦終了です。
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重金属に関してしばらく書かせていただきましたが、実際に診察を行うなかで、重金属をはじめとする異物の蓄積が体調不良の原因となっている、または病状を悪化させているケースが多々あると感じています。
重金属をため込まないためには、まずはきちんと水分を摂取すること。
体の外に異物を排泄するルートをしっかり確保することが一番大切です。目安の水分摂取量は、おしっこの色が薄いレモン色になるくらい。
その次に大切なのは運動すること。
代謝を活性化させることは排泄の活性化にも非常に重要です。
綺麗な水分を取り、しっかりと運動することでため込まない元気な体を作りましょう。
当院で行なっているバイオレゾナンス検診では、重金属の蓄積をはじめとする体内状態を、西洋医学とは違う視点から把握します。
ご興味がある方はお問い合わせください。
バイオレゾナンス検診 ご予約
https://filou.jp/clinic/reserve_hikarigaoka/
本日もブログをご覧いただきありがとうございました。
KONTANI拝